INTERVIEW
教えて教えて! みんなのギフト事情 《クリエイティブディレクター・haru.さん》
ギフトって、"モノ”をあげるだけじゃない。どんなシーンで、どんな気持ちを込めて贈るかは人それぞれ。みんな、どんなことを思って贈っているんだろう?
dōzo編集部のそんな気持ちから生まれた連載『教えて教えて! みんなのギフト事情 』第二回では、クリエイティブディレクターとして活動するharu.さんにお話を聞きました。
インディペンデント雑誌『HIGH(er)magazine』の編集長や、バンド・羊文学のアートディレクション、さらにはインナーウェアブランド『HEAP』ディレクターなど、多方面で活躍中のharu.さん。インタビューは、ちょっとパーソナルな、パートナーとのギフトの話から始まりました。
haru. /クリエイティブディレクター
1995年生まれ。幼少から日本とドイツを行き来して育つ。学生時代にインディペンデント雑誌HIGH(er)magazineを編集長として創刊。2019年に株式会社HUGを立ち上げ、クリエイティブディレクションやコンテンツプロデュースの事業を展開。
2024年4月にクリエイティブディレクターとしてインナーウェアブランド「HEAP」をローンチ。ブランドのコンセプトマガジンとしてHIGH(er)magazineを5年ぶりに復刊。年に2回のコレクションを発表予定。
熱量がすごい、パートナーからの手作りプレゼント
——いつもharu.さんの手掛けるプロダクトのアイデアやメッセージが素敵だなと思っていて。今日はこうしてお話しできてうれしいです! さっそくですが、haru.さんが印象に残っているギフトの話をおしえてください。
まず思い出したのが、パートナー(ラッパーのTaiTanさん)と毎年の誕生日に手作りのものを贈りあうってことをしていて。
——めちゃめちゃいいですね。最初のきっかけはあったんですか?
まだ友人だった頃、彼が独特な形で年賀状を送ってくれたのがきっかけなんですけど。それがハガキとかじゃなくて、こう…「年賀状セット」みたいな感じで。袋の中に、選んでくれた本とか、カセットとカセットレコーダーとか、コラージュで作った表紙のメモ帳とかが入ってるんです。
——すごい!いろいろ想いがつまってそう。しかも付き合う前…!? ガッと心を掴まれそうです。
この人はかなり面白い人間だぞ!って思ったのを覚えてます(笑)。
それで、そういう手作りの熱量に、手作りで返してみようかなと思ったところから始まってると思います。
——haru.さんはどんなものを手作りしたんですか?
彼がやってるポッドキャスト番組『脳盗』のキャラクターがいて、それを紙粘土で作りました。今はフィギュアとかのグッズが展開されてるんですけど、当時はまだ平面しかなかったんですよ。それを立体にしたらどんなかんじなんだろうって思って。
あとは、書いてくれたイラストをもとにフェルトと綿で作ったぬいぐるみとか。そういうふざけたものをあげてますね。
↑ ひとつ上の写真のグラフィックと見比べてみてもかなり完成度の高い、haru.さんが紙粘土で作ったプレゼント。
——haru.さんとしても、おふざけ的なものをもらうのが嬉しいですか?
そうですね、でもプレゼントは何もらっても嬉しいです。
最近はよく、パートナーからぬいぐるみももらいますね。ジェリーキャットっていうイギリスのぬいぐるみのシリーズなんですけど。むこうが仕事でヨーロッパへ行ったときに買ってきてくれたり。
——ぬいぐるみって、童心に返れるというか、大人になってからさらに良さを実感しますよね。プレゼントでもらうと精神的な支えになってくれそう。
そうですね。それはすごいあります。
——かわいい~。この子たちの優しい表情がいいですね。
そう、顔かわいい!ってかんじです。
オモロなプレゼントに、ポストカードを添える
——お友だちともプレゼント交換しますか?
しますね。きっとみんな、本当にほしいものって自分で買ったりするじゃないですか。だから、私からプレゼントする時はちょっと挑戦っていうか、けっこう“オモロ”にふっちゃうんです。
——なるほど。アイデア勝負というか。
このあいだ友達にあげてすごい楽しかったのは、トースト型のランプ。ふざけてるけど、意外と一万円くらいするもので。
ミニマルな家に住んでる子にあげたのでけっこうリスキーだなと思いながら、私も欲しくって「いらなかったらちょうだい」って言ってあげたんですけど。すごい気に入ってくれて、作業机に置いて使ってくれてます。
↑ PAMPSHADE/トースト(Yukiko Morita Online shopより)
——すごいリアルなランプ!というかこれ、本物のパンを使ってるんだ…。 挑戦したプレゼントを喜んでくれるって嬉しいですよね。
でも、毎度むずかしいなって思います。なんか、モノに気持ちを託しきるのってすごい難しいなと思っていて。だからよくポストカードとかお手紙はつけます。
——どんなことを書くんでしょうか。
綺麗な言葉を紡ぎたいとかはないんですけど、なるべく嘘のないように意識してます。「おめでとう」とか「いつもありがとう」とかとあわせて、相手が自分にとってどんな存在なのか、みたいなことを。普段そういう機会がないからポストカードに託そうとしているのかなと思います。
——ポストカードに書くというのは、けっこう前からされてるんですか?
そうですね、私の家族でポストカードを贈りあう習慣があって、それが根付いてるかんじなのかな。
普段から良いポストカードがあったら買って、結構ストックしてて。その中から、贈る人のその時のムードとかを思い浮かべて、一番合うものを選んでます。むしろ、ポストカードを選ぶのがプレゼント選びよりも楽しかったりします。そこがセンスの見せどころかなって。
——私もポストカード集めるの結構好きなんですけど、あんまり人にあげたことはなくて。もらったほうは飾れるし、すごくいい贈りものですよね。
たぶんこれで誰かに渡すだろうなっていうポストカードは、同じものを2枚買ったりします。
——それいいですね!2枚買い。
↑ haru.さんのポストカードコレクション(「超一部」とのこと)。
大事なのは、その人がその人自身でいられる状態
——haru.さんのSNSとかを拝見していて、いつもまわりの方たちと楽しそうにお仕事してそうだなっていう印象があって。お互いが気持ちいい状態で仕事できるように意識されていることってありますか?
わたしがチームを組む時であれば、なんでその人に仕事をお願いしたいのかとかを言葉にしてちゃんとお伝えしてます。そこにいる人全員が「自信をもってその場にいれる」ってことがすごい大事だと思ってて。
——たしかにそうですね。慣れた関係だと、言葉で伝えることをつい疎かにしてしまいそうですけど。
むずかしいですよね。でも、しっかり言葉にしないと分からないし、そもそもお互いのことを分かりあえてるって思わないことが大事というか。自分が知っている相手は、ある一面を見てるだけであって全てではないし、知らなかった一面を見てギャップを感じても受け止められる状態でいたほうが自分も楽しめるなって思います。
——いろんな人が集まる場面では、haru.さんがみんなを引っ張る役割なのかなってなんとなく思ってましたが…
空気みたいになります、そういう時は(笑)。あえて、緊張感を緩ませるっていう役割をしている気がします。
いい緊張感っていうのもあると思うんですけど、そういう時って良い姿を見せようってしちゃうじゃないですか。でもそれだとケガしちゃうというか。「その人がその人自身でいられるようなリラックス状態」みたいなのが大事かなと。
——ずーっと緊張して気が張ってても、続かないですしね。
そうなんですよね。
でも、このままでいいってよりは、上昇志向もすごいあって。自分。
——おお、そうなんですね。 リラックスしながら、上昇志向もありつつというかんじで。
そうなんですよ。そこが両立できたらいいなと。
ブランドも成功したいし、やりたいことでお金を稼ぎたいし、チームのみんなが活躍してほしいし。もっともっとっていう気持ちが常にあって。それは口に出し続けてますね、チームといるときも。
——その上昇志向は、今はどんな方向に向いてるんですか?
HEAP(haru.さんが手掛けるインナーウェアブランド)を、コミュニケーションの最初の接点みたいなかんじで考えていて。下着を作り続けたいのはもちろんなんですけど、その先にもっと、いろんな角度で自分とむきあえるような体験ができる街のようなものがつくれたら面白いなと。
たとえば、下着屋さんがあるんだけど、同じ建物の中にジムとかカフェが入ってたりとか、お医者さんがあったりとか、性教育について学べたりとか。いつになるかわかんないですけど、そういうことを実現したいです。
インナーウェアを自分へのギフトに
——haru.さんは今いろんなプロダクトに携わってますが、ギフトにおすすめのものはありますか?
HEAPで、毎シーズンのコレクションテーマで伝えたいことを表現している「messenger bra(メッセンジャーブラ)」っていう型を作ってるんですけど。
朝、下着を選ぶときに、これがいいなって思って選んでもらえるような、お守りみたいに感じられるものになってると思うので、“”自分へのギフトっていう意味でぜひ使ってみてほしいなと思ってます。
——すごく新しいし、素敵ですよね。第一弾の”TEA PARTY (茶話会)“ も「謙遜撲滅委員会」って言葉が入っていたり。
プレゼンとか大事な発表がある日とか、がんばるぞって気分のときにわたしもよくつけてますね。
——人には見えないけど、自分の肌に一番近いところにあるから、すごくパワーをもらえそうですよね。
そうだったらいいなって気持ちでつくってます。
次のコレクションではドレスデザイナーの八木華さんとコラボして制作中です。華さんがドレスを制作されるとき、レースの一部を溶かしたり燃やしたりされているのですが、今回の“メッセンジャーブラ”でも燃えているレースの写真を撮影し、テキスタイルに落とし込みました。かなり反抗的な一枚になって、とても気に入っています(笑)。
𝐇𝐚𝐧𝐚 𝐘𝐚𝐠𝐢 × 𝐇𝐄𝐀𝐏
𝟐𝟎𝟐𝟒 𝐀𝐖 𝐜𝐨𝐥𝐥𝐞𝐜𝐭𝐢𝐨𝐧 “𝐓𝐫𝐮𝐞 𝐒𝐭𝐨𝐫𝐢𝐞𝐬” 𝐜𝐡𝐚𝐩𝐭𝐞𝐫 𝟑
☾地獄の花嫁☽ 𝔅𝔯𝔦𝔡𝔢𝔰 𝔦𝔫 ℌ𝔢𝔩𝔩
𝐏𝐫𝐞𝐬𝐞𝐧𝐭𝐢𝐧𝐠 𝐨𝐮𝐫 𝐬𝐩𝐞𝐜𝐢𝐚𝐥 𝐜𝐨𝐥𝐥𝐚𝐛𝐨𝐫𝐚𝐭𝐢𝐨𝐧 𝐰𝐢𝐭𝐡 𝐝𝐫𝐞𝐬𝐬 𝐝𝐞𝐬𝐢𝐠𝐧𝐞𝐫 𝐇𝐚𝐧𝐚 𝐘𝐚𝐠𝐢.
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𝙴𝚡𝚑𝚒𝚋𝚒𝚝𝚒𝚘𝚗 𝚊𝚗𝚍 𝚜𝚙𝚎𝚌𝚒𝚊𝚕 𝚜𝚝𝚘𝚛𝚎 𝚊𝚝
𝚃𝙴𝚁𝚁𝙰𝙽𝙾𝚅𝙰 𝙷𝚘𝚞𝚜𝚎
𝟷𝚜𝚝, 𝟸𝚗𝚍 𝙽𝚘𝚟𝚎𝚖𝚋𝚎𝚛 𝟸𝟶𝟸𝟺
𝟹𝟼-𝟽 𝚃𝙴𝚁𝚁𝙰𝙽𝙾𝚅𝙰 𝙱𝙻𝙳 𝙾𝚢𝚊𝚖𝚊𝚌𝚑𝚘,
𝚂𝚑𝚒𝚋𝚞𝚢𝚊 𝚃𝚘𝚔𝚢𝚘 𝙹𝚊𝚙𝚊𝚗 𝟷𝟻𝟷𝟶𝟶𝟼𝟻
HEAPとしては初の試みのコラボレーションが実現。ドレスデザイナー八木華と制作したカプセルコレクションを展示形式で発表予定。
詳細はHEAPの公式Instagramをチェック🔥
文/dōzo編集部 オノマエ
写真/haru.さんご提供