
INTERVIEW
イラストレーター・ニシワキタダシさんが描くユーモアある世界《dōzo art club》
こんにちは!dōzo編集部のカワツです☺
ついに6月がはじまりましたね〜。傘を持つのはちょっと面倒だけど、雨音や湿った空気にふっと癒される時もありますよね。
そんな6月のスマホ壁紙を描いてくださったのは、イラストレーターのニシワキタダシさん。
ポップで自由で愉快なユーモアがじわじわと染みてくる、ニシワキさんらしい一枚です。
今回はこの壁紙の制作秘話はもちろん、“観察とことばの力”、“しりとりに込めた創造力”、さらには娘さんとのやりとりまで、たっぷりお話を伺いました!
ニシワキタダシイラストレーター。なんともいえないイラストやモチーフで、書籍や広告、グッズなど幅広く活動中。
Instagram / X
憂鬱な6月を、ちょっとハッピーに
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——今回の壁紙、とっても自由で可愛いです!「傘さしてスケボー」って、どうやって思いついたんですか?
6月と言えば梅雨のイメージですが、「あまりジメジメした感じはいやだなぁ」 「明るくてカラフルなイラストでもいいかも」と、できるだけ明るい感じで考えました。
でもやっぱり“梅雨”のモチーフは入れたいなと思って、じゃあ「傘」は必須かなと。そこからもう少しアクティブにしたいな~と考えていたら、「スケボー」の発想にたどり着きました。現実にはなかなかしないけど、ちょっと面白いかなって。
——雨の描き方もユニークですよね!
そうなんです。雨というより、図形を表した柄が降ってきている感じにしました。6月って雨だけじゃなくて、晴れている日もあるし、雨や曇りでも、日常は変わらないので、楽しく過ごしてもらえたら嬉しいですね。
気になる日常が、ユーモアを生む
ニシワキさんの作品(ニシワキさんInstagramより)
——ニシワキさんの作品にあるユーモアってどこから湧いてくるんでしょうか?
日常の中で、つい目に止まっちゃう気になるものってありますよね。「この看板ちょっとおかしいな」とか「この建物、細すぎるな」とか。
最近だと、お店の前に貼ってあった「しばらく休みます」みたいな手書きの張り紙が気になったんです。通りすがりで見てたんですけど、よくみたら「ハワイに行くのでしばらく休みます」って書いてあって…。え、そのハワイって書く意味ある?別に「お休みします」だけでいいのに(笑)って。
——たしかに、ちょっと笑っちゃいます(笑)。
そういう日常にある気になったものは、直接イラストにすることはないけど、どこかでじわじわ影響しているのかもしれません。
言いすぎない、描きすぎない
——言葉も絵も、“説明しすぎない”感じがすごく印象的で。そういった余白って、意識して描かれているんでしょうか?
そうですね、オリジナルの作品では特にそうかもしれません。絵のタイトルで一応ちょっと説明するけど、なんでこうなったのか?は見る人に委ねるようにしています。以前の個展でも、ある作品に『てっきり飛んでつれていってくれると思っていたけど ずっと走っている』ってタイトルをつけたんです。
作品『てっきり飛んでつれていってくれると思っていたけど ずっと走っている』
——物語を感じさせるタイトルです!
そうなんです。説明しすぎないことで、見たお客さんが「どういうことなんだろうね?」って楽しんだり、想像してくれる。その余白があるといいなと思って作品を発表しています。
笑いの感覚が、言葉を育てる
——言葉の余白にも、どこかユーモアを感じるのは、何か影響を受けたものがあるんでしょうか?
子どもの頃から漫才やコントが好きでTVでよく見ていました。派手なギャグよりも、クスッとくるお笑いが好きでした。なので“たとえツッコミ”とか、ちょっと外した言い回しとかに惹かれます。
——それが今の言葉選びにも表れているんですね。
そうかもしれません。だから自分で言葉を考えるときも、誰もが思い浮かぶ言い回しよりは、少し角度を変えて、でもスッと届くような表現を探してしまいますね。
言葉の遊びが、絵になるまで
———そうした“言葉のユーモア”が、作品に色濃く出ているのが『しりとりのカレンダー』ですよね!毎年楽しみにしている方も多いと思います。
ありがとうございます。おかげさまで、来年で10作目になります。
週めくりで絵しりとりが続く「しりとりのカレンダー」
——すごい…10年も続いているとは!
もともとは「1年やってみませんか」という杉本カレンダーさんからのお声がけでスタートしたんですけど、気づけば毎年作り続けることになっていて、自分でもびっくりしています(笑)。
——印象に残っているお気に入りの作品はありますか?
去年のカレンダーにある「モチベーション売り場」ですね。
“モチベーション”って本来目に見えないものなんですけど、形のないものが売ってたら楽しそうと思って。モチベーションをお餅っぽく描いておじさんが屋台で売ってるイラストにしました。このお餅は、食べるのかな?枕元に置いとくのかな?とか考えると面白いですよね(笑)。
—— しりとりワードは、どうやって思いつくんですか?
作業机に向かって「考えるぞ!」ってなるより、電車に乗っているときや、散歩してるときにふと浮かぶことが多いです。ひらめいた単語はスマホに50音順でメモしておいて、「次は“ら”の言葉が必要だな」となったら“ら”のメモを見返してアイデアを組み立てていくんです。
自分のタッチを残しながら
——— 最近印象に残っているお仕事はありますか?
花王「メリット」のCMですかね。30秒ぐらいのアニメーションCMなんですが反響も大きく、自分の中でも大きい仕事だったなと思います。
花王の公式YouTubeより
—— とっても素敵なCMで感動しました!制作する上で、ニシワキさんが特にこだわったポイントはどこですか?
最初は「しっかり描かないと」と構えて真面目に描いていたんですが、クリエイティブチームから「もっとニシワキさんらしくていいんです」と言ってもらえて。描く内容は決まっていながらも、できるだけ自分らしさの出るイラストタッチや色味で描かせていただきました。
—— 今後お仕事でやってみたいことや挑戦したいことはありますか?
ありがたいことに、最近は絵本やグッズなどいろんなジャンルのお話もいただいていて。物語性のあるものや、絵本のように長く手元に置いてもらえるような作品も作っていけたらいいなと思ってます。
親子のあいだの、あたたかなギフト
——最後に、「dōzo」にちなんで、最近のギフト事情について教えてください!
すごくプライベートな話なんですけど、東京に展示やイベントで出かけるとき、娘にお土産を買って帰るのがちょっとした習慣になってきています。
最初、イベントに行った時は何も買わずに帰ったんですけど、そしたら「お土産は?」って言われて(笑)。それ以来、展示先の雑貨屋さんで付箋を買ったり、娘のお茶碗が割れたタイミングでは蚤の市でお茶碗を探して買ったりもしました。
娘さんにプレゼントしたお茶碗
——素敵です!逆に、もらって嬉しかったギフトはありますか?
娘の話ばかりであれなんですが(笑)、娘は絵を描くのが好きで、ちっちゃい頃から何かを描いたらそれをくれるんです。それを仕事場に飾ったりしています。
仕事場に飾られている娘さんの作品
たまに僕のイラストを真似して、ニシワキタダシ風に描いてくれる時もあります(笑)
定期的に絵を描いてプレゼントしてくれるので、嬉しいですね。
ニシワキさん風に描いてくれた娘さんの絵
——そんな親子のやりとりそのものが、何よりも特別なギフトなのかもしれませんね!今回はインタビューさせていただき、ありがとうございました!
☔ ニシワキさんの壁紙は、dōzoアプリからどーぞ!
ニシワキタダシさんの壁紙は、dōzoアプリでダウンロードできます!
ぜひスマホでも、ニシワキさんの世界観を楽しんでみてください!
■ダウンロード方法
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Text/Edit:dōzo編集部
Photo:ニシワキタダシさんご提供